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ビールについて学ぼう:第十一回 ~麦汁をきれいに:濾過工程~

December 25, 2017

仕込工程でデンプンが糖になり酵母が発酵できるようになりましたが、麦汁には麦の穀皮などの固形物が残っているのでこれらを取り除かなくてはいけません。これが『濾過工程』です。

 

濾過には穴の開いた金属板であるロイター板を用いるロイター式と、濾過布を使うフィルタープレス式の2通りがあります。いずれの場合も麦の穀皮をフィルターとして使用します。

 

図はロイター式の場合ですが、底に沈んだ穀皮がフィルターになりロイター板のメッシュを開いて麦汁を循環させます。

 

 

この循環を繰り返すことで澄んだ麦汁が得られるのですが、色々と注意が必要です。

濾過の時間を短縮するためやエキス分を多く取ろうとして強制的に濾過(たとえば圧力をかける)すると、脂質に含まれる濁り成分が濾過した麦汁に含まれるようになり、ビールの味わいに悪影響が出ます。そのため、基本的には自然に麦汁が濾過されるのを待つことになります。

 

また循環した麦汁をロイター槽に戻す時に勢いがありすぎると麦汁が撹拌されてしまい、濾過に時間が余計にかかります。そのため、循環した麦汁はできるだけ静かに戻します。

 

循環を繰り返して得られた澄んだ麦汁は第一麦汁と呼ばれます。皆さんご存知のキリンビールさんの『一番搾り』はこの第一麦汁だけを使ったビールです。

 

通常は濾過して残った固形分であるもろみ層にはまだエキス分が残っているので、そのもろみ層にお湯をかけて濾過し、残っているエキス分を取り出します。これを第二麦汁と言います。ただしこの第二麦汁は糖やアミノ酸が少ない(すでに第一麦汁のほうに多く濾過されています)ためpHが高くアルカリ性になっているため、フィルターとして残っている穀皮に含まれるタンニンを溶け出しやすくしてしまいます。そのためこの時に使用するお湯を多くしてエキス分をたくさん取ろうとすると、これらの好ましくない成分も多く取ってしまうことになるため、第二麦汁の工程も重要です。

 

こうして得られた第一麦汁、第二麦汁は煮沸釜に送られ『煮沸工程』が行われます。

 

 

さて、2017年も終わりに近づきました。毎週発行している「ビールについて学ぼう」シリーズも年末年始はお休みし、次回、第十二回の「ホップの登場:煮沸工程」は2018年の1月7日頃に発行する予定です。

 

店はしばらく休業しますが、このシリーズは最終回まで休業中も発行しますので、どうぞお楽しみ下さい。

 


「ビールについて学ぼう」シリーズ
第一回 ~そもそもビールって?~
第二回 ~基本の原料とドイツのビール純粋令、そして日本~
第三回 ~麦、麦芽と焙煎について~
第四回 ~ホップがなければビールじゃないのはなぜ?~
第五回 ~酵母の力は偉大だ!~
第六回 ~水が違えばビールも変わる?~
第七回 ~いろんな副原料~
第八回 ~ビール製造の基本~
第九回 ~麦を麦芽に:製麦工程~
第十回 ~デンプンを糖分に:仕込工程~
第十一回 ~麦汁をきれいに:濾過工程~
第十二回 ~ホップの登場:煮沸工程~
第十三回 ~いよいよお酒に:発酵工程~
第十四回 ~まだ飲んじゃだめ:貯酒・熟成工程~
第十五回 ~Are you ready?:パッケージング工程~
第十六回 ~おまけ~

注)店主の知識をまとめたものであり、事実と異なる記述もあるかもしれませんので、その点についてはご容赦下さい。

 

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