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ビールについて学ぼう:第十五回 ~Are you ready?:パッケージング工程~

February 18, 2018

『熟成・貯酒工程』も終わり、ついに美味しいビールが完成しました。あとは皆さんのところに届けるだけです。そのためには輸送できる状態にしないといけません。それが『パッケージング工程』です。

 

要するに瓶や缶、あるいは樽に入れて酒屋さんやスーパー、飲食店に届けるようにする工程です。容器に詰めるだけのようですが、実はここにも色々あるんです。見ていきましょう。

 

  • 濾過

熟成・貯酒工程のところで浮遊している酵母などが残っていると話しました。底に溜まった大半の酵母やタンパク質などは熟成・貯酒工程で取り除かれますが、浮遊しているものはそのままだと容器に入ってしまいます。そこで濾過することで、これらの浮遊物を取り除くことができます。こうすることでビールの透明感が得られます。

 

  • 加熱処理

濾過することで酵母などは取り除かれますが、やはり完全にというわけにもいかないようです。あまり詳しく話をすると微生物管理の話に入り込んでしまいそうなのでやめておきますが、加熱処理をして酵母を死滅させ完全に発酵を止めてしまいます。これによりビールの安定性が増します。

 

日本で『生ビール』と呼ばれているものは加熱処理をしていないもので、缶ビールなどに『生』という表示とともに『非熱処理』という表示がされています。今ではほとんどのビールは加熱処理をしていない生ビールです。これは濾過技術が向上したため、加熱処理をしなくてもビールの品質を安定させることが出来るようになったからです。

 

実は意外に多くの皆さんが誤解されているのですが、居酒屋さんなどで飲むジョッキに入れられて出てくるビール、あれが『生ビール』で、それ以外の瓶や缶は生ビールではない、と。でもそうではありません。生ビールとは加熱処理をしているかしていないかで、樽から出てくるから生ビールではなく、加熱処理をして樽に詰めているものがあれば、それは生ビールではありません。また「生ビールのほうが美味しい」という印象もあるようで、店に来られるお客様もサーバーからのビールのほうが良いと思っていらっしゃることが多いように思います。でも造り手さんはそのビールに最も合うのはどういう工程なのかを考えて造られているので、生だから、そうでないからという議論は必要ないと私は考えています。

 

ちなみに日本以外の国では濾過も加熱処理もしていないものを生ビールと読んでいるようです。確かに濾過の目的を考えれば、海外の生ビールの定義のほうが理にかなっているように思います。

 

さて、パッケージング工程でもう一つ大事な話、それが瓶内二次発酵です。これはビールを瓶詰めする際に糖分と酵母を添加して、瓶のなかで発酵させるというもの。こうすることで酵母が発生させる炭酸ガスをゆっくりと溶け込ませ、また酵母による香りの熟成効果を狙ったものです。

 

ただし、一旦ビール製造業者から出荷されると、輸送や保管状態は管理できませんので、ビールが晒される環境によって二次発酵の進み具合や期待通りの効果が得られるかどうかはわかりません。そのため管理の行き届いた輸送業者、輸入業者によって届けられるビールのほうが品質が確かなのは言うまでもありません。

 

また最終の消費者である我々もどのように保管しておくのかは非常に重要です。保管状態さえ良ければ、賞味期限を越えても美味しい、もしかすると熟成されてもっと美味しいビールが飲めるかもしれません。

 

ちょっと脱線気味になりましたが、これまでの話をまとめるとこんな感じでしょうか。

 

こうして瓶や缶、樽に詰められたビールは私達の手に渡り、ようやく至福のひとときを過ごすことができるようになりました。

 


ここまで、原料の話から製造工程まで、時には余談も交えながら長々と話してきましたが、いかがでしたでしょうか? これを読んでいただいて、これまでよりビールに親しみを持って頂き、また「『とりあえずビール』なんてビールに対して失礼だ!」と思えるようになって頂ければ、本当に嬉しい限りです。

 

 

「ビールについて学ぼう」シリーズの最終回となる次回は「おまけ」としていますが、まだ何を話すか決めていません。思いつきでダラダラ書いてしまいそうですが、できるだけ興味を持って頂けるような話ができればと思います。

 


「ビールについて学ぼう」シリーズ
第一回 ~そもそもビールって?~
第二回 ~基本の原料とドイツのビール純粋令、そして日本~
第三回 ~麦、麦芽と焙煎について~
第四回 ~ホップがなければビールじゃないのはなぜ?~
第五回 ~酵母の力は偉大だ!~
第六回 ~水が違えばビールも変わる?~
第七回 ~いろんな副原料~
第八回 ~ビール製造の基本~
第九回 ~麦を麦芽に:製麦工程~
第十回 ~デンプンを糖分に:仕込工程~
第十一回 ~麦汁をきれいに:濾過工程~
第十二回 ~ホップの登場:煮沸工程~
第十三回 ~いよいよお酒に:発酵工程~
第十四回 ~まだ飲んじゃだめ:貯酒・熟成工程~
第十五回 ~Are you ready?:パッケージング工程~
第十六回 ~おまけ~

 

注)店主の知識をまとめたものであり、事実と異なる記述もあるかもしれませんので、その点についてはご容赦下さい。

 

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