top of page

ベルギービールの分類について

今日はベルギービールの分類について書いてみたいと思います。

お越しいただくお客様のビール選びに参考になるよう、本当はもっと早くこういうことをブログに書かなければいけなかったのに、と反省していますが、気持ち的にも少し余裕も生まれてきましたので、もう少しこういったことにも時間をとっていきます。

さて、ベルギービールはどれも個性的で、味わいも多種多様。それを分類することにどこまで意味があるのかという議論もありますが、ある程度のグループ分けをすれば、「次はどのビールを飲もうかな?」という時の助けにはなると思います。

コムシェモアでは店主がベルギービールについて学んだ「日本ベルギービール・プロフェッショナル協会」の分類をベースに、少しだけアレンジした分類をしています。

トラピスト

修道院ビールとも呼ばれるが、修道院内に醸造所を持つトラピスト会の修道院で造られるビール。ラベルやボトルには六角形の「トラピスト」のマーク(写真:ロシュフォールのラベル)が付けられているが、この「トラピスト」と呼ぶことができるものは現在、世界で11ヶ所だけで、そのうちの6ヶ所がベルギーにある。

アビィ

これも修道院ビールではあるが、アビィはトラピスト会以外の修道院からライセンスを受け、かつての醸造方法やレシピを使って一般の醸造所やビール会社が造るビール。

このようにトラピストやアビィはどのような醸造所で造られているかをもとに分類しているため、味わいや色などは様々であり、トラピストだから、あるいはアビィだからこんな味、ということではありません。

ベルジャンホワイト

ホワイト・ビール、あるいは白ビールとも呼ばれる、通常のビールの原料である大麦麦芽に加えて、小麦や小麦麦芽を多く使用したもの。このようなビールにはドイツのヴァイツェンやベルリナー・ヴァイセなどもあるが、ベルギーのホワイト・ビールの場合、オレンジピールやコリアンダーを使っていることが特徴的であるため、コムシェモアでは「ベルジャンホワイト」としている。

セゾン

もともとは農家が冬の間に仕込んで、夏の作業中に水の代わりに飲むために造られていたビール。夏まで保存ができるように防腐効果のあるホップを多く使用するなど、様々な工夫がされていた。現在は醸造農家からビール専業に移行した人達によって伝統が守られている。口当たりが軽くホップの爽快な香りもあるなど、飲みやすいものが多い。

ランビック

培養した酵母を使わず、その醸造所についている野生酵母や微生物を利用して自然発酵させる、ベルギーの伝統的ビール。酸味が強く独特の香りがあるのが特徴的で、個性が強いため好き嫌いが別れる。最近はサワーエールの一つとして捉えられていることもある。「グーズ」とは若いランビックと熟成させたランビックをブレンドし、瓶詰め後にさらに発酵させたもの。他のベルギービールで行われる瓶内二次発酵では糖分と培養した酵母を加えて行うが、ランビックの場合は瓶内二次発酵も自然発酵させている。

フルーツランビック

ランビックにさくらんぼ(クリーク)やフランボワーズなどのフルーツの実を漬け込んだり、ジュースを使ったりして甘酸っぱく飲みやすいものにしたフルーツビール。ランビックのバラエティの一つとして捉える場合が多いが、フルーツによる味わいの違いが大きいため、コムシェモアでは「フルーツランビック」として分類している。

フルーツ

ベルギーがブルゴーニュの支配下にあった14世紀終わり頃から、ワインを飲むことが富裕層の間で流行した。一般市民もワインに憧れ、それに応えるために造られたのがフルーツビールである。様々なビールがベースになっているが、フルーツランビックと同様、フルーツの実を漬け込んだりジュースを使ったりして造られる。コムシェモアではフルーツランビック以外のフルーツを使ったビールを「フルーツ」として分類している。

レッド

このビールもブルゴーニュの支配下にあり人々がワインに憧れていた頃、ワインよりも手軽にワインに似た味わいのものを楽しむために考え出されたビール。レッド・ビールは西フランデレン地方で造られ、東フランデレン地方で造られるブラウン・ビールと製法などに違いがあるため区別しているが、これらはいずれも酸味に特徴があり兄弟のようなビールと呼ばれている。レッド・ビールは赤麦芽が使われることによって、赤茶色のビールに仕上がっている。またオーク樽で熟成されることがレッド・ビールの特徴であり、ワインのような味わいはこのオーク樽での熟成によって得られたものである。

ブラウン

ブラウン・ビールの場合、古いビールに新しいビールをブレンドして二次発酵させることで、独特の味わいを造り出している。またレッド・ビールと違い、スチールタンクで熟成される。リーフマンスがブラウン・ビールの代表的なものだが、コムシェモアでは現在取り扱いがなく、リーフマンス・フリテッセのフルーツビールのみである。

ベルジャンIPA

IPAとはインディア・ペール・エール(India Pale Ale)の略。18世紀頃、インドを統治していたイギリスが、水の悪いインドで水の代わりに飲むものとして、ビールをイギリスから運んでいたがインドまでの航海は長く、そのため防腐効果があるホップを大量に効かせたビールを作っていた。このホップによる苦味と香りの強いビールをIPAと呼んでいるが、最近、このIPAの人気が高まっている。コムシェモアではホップに特徴があり、苦味やホップ由来の香りが感じられるものを「ベルジャンIPA」として分類している。

ゴールデンエール

フルーティーでアルコール度数が高く、色合いがゴールドのものを「ゴールデンエール」と呼び、ビール評論家の故マイケル・ジャクソン(注:当然、歌手のマイケル・ジャクソンとは別人)が命名した。デュベルが代表的なビールの一つであるが、店主がベルギービールにハマるきっかけになった、その名の通り「Duvel=悪魔」のビール。

スペシャル

ここまでは製法や原料、あるいはトラピストやアビィのような由来などで分類してきたが、そのいずれにも当てはまらないビールをスペシャルとして分類している。ベルギーには1,600もの銘柄があり、いずれも個性的で多種多様なため、冒頭で書いたように分類することに意味があるのかという議論になるが、それを象徴的に表しているのが「スペシャル」という分類であると言える。

ピルスナー

スペシャルも含め、ここまで分類してきたものはすべてエールタイプのビールで上面発酵で造られたものである。それに対しピルスナーは下面発酵によって得られるビールで、もとはチェコ(当時はボヘミア)のピルゼンで生まれた淡い色のビールである。日本で飲まれている大手ビールメーカーのビールはほぼ全てピルスナータイプである。

ちょっと長くなってしまいましたが、以上がコムシェモアで行っているベルギービールの分類です。現在のところ、セゾン、ブラウン、ピルスナーの取扱はありませんが、もうすぐセゾンの取扱いを始めます。詳細は後日に。

​営業日のお知らせ

6月5日金曜日より

営業を再開したします!

最新記事
アーカイブ
カテゴリー
SNS
  • Facebook - Black Circle
  • Instagram - Black Circle
bottom of page