ビールについて学ぼう:第十四回 ~まだ飲んじゃだめ:貯酒・熟成工程~
発酵工程が終わり若ビールが出来上がりました。でもこの状態ではまだ味が荒々しいので、『熟成・貯酒工程』で熟成させるのですが、実はまだ発酵が完全に終わったわけではありません。 一般的に発酵工程で起こる発酵は『主発酵(または前発酵)』と呼ばれ、熟成・貯酒工程で起こる発酵は『後発酵』と呼ばれています。この後発酵は残った糖分によって起こりますが、炭酸ガスが生成されます。この時、加圧状態を保ちながら徐々に冷却することで炭酸ガスがビール中に溶解していきます。こうしてビールになくてはならない爽快な喉ごしを生み出す泡がビールの中に閉じ込められます。 もちろん熟成中で起こるのは後発酵だけではありません。いくつか見ていきましょう。 不快な匂いを取り除く 若ビールには発酵工程で生成される不快な匂いが残っています。例えばダイアセチルという物質があるのですが、これは漬物などで感じるような発酵臭(バタースコッチのような甘い香りと表現されたりもします)で、ビールにとっては好ましくない香りです。これが熟成中に他の物質に変換されます。これも酵母による働き(発酵とは違う)によるものだ

ビールについて学ぼう:第十三回 ~いよいよお酒に:発酵工程~
酵母による発酵の準備が整った麦汁は発酵槽へと送られます。その際、煮沸工程で麦汁の温度は高くなっていますので、酵母の発酵に適した温度まで冷やされます。 図にあるように発酵槽に送られる配管に熱交換器があり、その中を通る際に冷媒によって麦汁は目的の温度まで冷やされます。 こうして温度が下がり発酵に適した温度になった麦汁に酵母が添加され、発酵が始まります。 『第五回 ~酵母の力は偉大だ!~』で詳しく触れましたが、ビールの発酵には『下面発酵』『上面発酵』『自然発酵』の3種類があります。この中で『自然発酵』は培養管理のされていない野生酵母(ブレタノマイセス属)を使ったベルギーのランビックのみとなり、発酵工程が他の2つと大きく異なります。ここでは基本的な発酵工程が大きくは変わらない下面発酵、上面発酵について見てみます。 酵母が添加された発酵初期の段階では酵母が持つマルトースによって麦芽糖をブドウ糖に分解し、酵母自身も増殖してその数を増やします。またこの段階では酵母がブドウ糖を取り込めるように細胞壁の透過性を高めます。その後、酵母はブドウ糖をアルコールと二酸化炭

ビールについて学ぼう:第十二回 ~ホップの登場:煮沸工程~
いよいよビール造りも後半の工程に入ってきました。今回は『煮沸工程』です。 煮沸工程の主な目的は次のとおりです。 1. 麦汁を殺菌する。 2. 麦汁に残っている酵素を失活させる。 3. 凝固性のタンパク質を加熱により凝固させる。 4. 第二麦汁によって薄まった麦汁を濃縮し、濃度を調整する。 5. 好ましくない香りを揮発させる。 6. ホップを投入してホップ成分(苦味、香り)を抽出する。 ではひとつずつ見ていきましょう。 1. 麦汁を殺菌する。 これは煮沸工程で最も重要な目的の一つです。煮沸工程を経た麦汁は発酵工程に移りますが、そこで仕事をするのは酵母です。でももし麦汁の中に他の微生物が残っていたらどうなるでしょう? 期待した仕事を酵母ができなくなり、ここまでやってきたビール造りは失敗です。酵母にしっかりと仕事をしてもらうためには、麦汁の中にその邪魔をする微生物を全て殺菌する必要があります。 2. 麦汁に残っている酵素を失活させる。 「第五回 ~酵母の力は偉大だ!~」でお話しましたが、酵母の発酵過程の中で麦芽糖をブドウ糖に分解するというものがあります

新年のご挨拶
新年あけましておめでとうございます! 皆様はどのような2018年をお迎えになられましたでしょうか? ビアバル コムシェモアは年明けから休業ということで、昨年とは異なる新年を迎えましたが、夏に迎える本当の意味での新年に向け、しっかりと充電していきたいと心新たにしているところです。 元店主も新しい生活が始まりますが、個人的なことは横に置いておいて、休業中も皆様に色々発信していきたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。 それでは、2018年も頑張っていきましょう!!