ビールについて学ぼう:第九回 ~麦を麦芽に:製麦工程~

さて、前回はビール醸造の全体の流れをお話しました。今回からそれぞれの工程について順を追ってお話していきます。

ビール醸造のスタートはもっと遡ると麦の栽培、収穫から始まるわけですが、そこまでは行き過ぎですので麦を醸造所に持ってきたところから始めたいと思います。まず最初は麦を麦芽にする『製麦工程』からビール醸造はスタートします。

『麦芽』とは読んで字のごとく芽のでた麦。デンプンやタンパク質を分解する酵素を作り出すために発芽させるわけですが、製麦工程は麦を発芽させ仕込の準備をする工程です。

浸麦 麦を水に浸けます。これは発芽に必要となる水分を補う作業です。またこのプロセスでは麦の穀皮に含まれる苦味成分(タンニン)が水に溶け出します。浸ける水の温度は15℃くらいで、最終的に45%くらいの水分含量になります。

発芽 水を含んだ麦は一定温度(15℃前後)に保たれた発芽室で発芽します。

焙燥 発芽した麦の成長が進み過ぎるとビール醸造には適さないため、焙燥することで麦の成長を止めます。またこれによってビール特有の色や香りが作り出されます。ただしこの焙燥の温度管理は重要で、高温になりすぎるとせっかく発芽によって生成された酵素が失活してしまいます。そのため焙燥はおよそ50℃からスタートして徐々に温度を上げ、80℃を超えたところで焙燥を終了します。

除根 麦が発芽する際には根も出ますが、この根には不快な苦味であるアルカロイドが含まれています。麦芽をこすり合わせて苦味成分を含んだ根を取り除きます。これを除根を呼びます。

焙煎 ローストとも呼ばれる工程ですが、これは先の焙燥とは目的が異なります。ローストは濃い色のビールに使われるカラメル麦芽やクリスタル麦芽、チョコレート麦芽、黒麦芽などを造るために行われます。ローストの仕方は目的とする麦芽で異なりますが、黒麦芽の場合はロースターの温度が200℃以上になるそうです。

さて「高温にさらされると酵素が失活するんじゃないの?」という疑問が生まれるかもしれません。私もそうだったのですが、実はこれらの濃色ビールを造るための色の濃い麦芽の実際に使われる量は少なく、数%から多くても20%程度だそうです。残りの麦芽に酵素が残っているので問題ないわけですね。

こうして麦芽の準備が整いました。この麦芽を使って『仕込工程』へと進みます。

「ビールについて学ぼう」シリーズ 第一回 ~そもそもビールって?~ 第二回 ~基本の原料とドイツのビール純粋令、そして日本~ 第三回 ~麦、麦芽と焙煎について~ 第四回 ~ホップがなければビールじゃないのはなぜ?~ 第五回 ~酵母の力は偉大だ!~ 第六回 ~水が違えばビールも変わる?~ 第七回 ~いろんな副原料~ 第八回 ~ビール製造の基本~ 第九回 ~麦を麦芽に:製麦工程~ 第十回 ~デンプンを糖分に:仕込工程~ 第十一回 ~麦汁をきれいに:濾過工程~ 第十二回 ~ホップの登場:煮沸工程~ 第十三回 ~いよいよお酒に:発酵工程~ 第十四回 ~まだ飲んじゃだめ:貯酒・熟成工程~ 第十五回 ~Are you ready?:パッケージング工程~ 第十六回 ~おまけ~

注)店主の知識をまとめたものであり、事実と異なる記述もあるかもしれませんので、その点についてはご容赦下さい。

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